2014年9月8日月曜日

ドイツふりかえり2ドレスデンとライプツィヒ

今日は、2013年春に一ヶ月滞在したドレスデンと、2014年夏に10日間過ごしたライプツィヒ、というザクセン州の二つの街を比較したい。
ザクセン州の地図。二つの中心都市ライプツィヒとドレスデンがある。
両都市は電車で1時間ほどの距離。

両都市は、ドイツ東部(旧東ドイツ地域)のザクセン州を代表する大都市であり、それぞれ50万人以上の人口を有する(Dresden51万、Leipzig53万)。ドレスデンには大きなオペラ座があり、ヴァグナーが滞在したことから、音楽で有名だし、ライプツィヒは大学都市であり、現在もドイツ有数の出版の町として知られる。ひとつの地域に同程度の規模の都市が二つあることから、なんとなく群馬県における前橋と高崎、あるいは埼玉の浦和と大宮、または長野県における長野と松本みたいな関係をイメージしていたのだが、実際に行って比較してみるといくつか違うところがあるとわかった。

町の成り立ちから生じる違い
ドレスデンは王宮のまち、いわば城下町である。ザクセン選帝侯領の首都がここに置かれていた。いっぽうライプツィヒは、街道の要所として商業と学問の街として栄えてきた。ライプツィヒ大学は、ドイツではハイデルベルク大学に続いて1409年に設立された大変伝統ある大学だ。現在もライプツィヒは、ドレスデンやチェコ方面(東)、ニュルンベルクなどバイエルン方面(南)、ベルリンやドイツ北部(北)そしてフランクフルト方面(西)へと続く鉄道網が交差する場所だ。

諸国民戦争記念碑からライプツィヒ市内を望む。ほぼ平坦な土地であることがわかる。
また、地理的・地形的にも街の雰囲気は大きく異る。ドレスデンはエルベ川、ライプツィヒはザーレ川の流域にあるが、ドレスデンがエルベ川の谷沿いに南北に狭く東西に細長い市街地を形成しているのに対し、ほぼ平地にあるライプツィヒの場合は、ザーレ川は市の中心部より少し離れたところを流れている。
街を流れる河川との関係や、地形の違いをとっても、二つの街の性格の違いがよく分かる。
ライプツィヒ市内中心部からほど近いところに、古い高層住宅が残っている
ライプツィヒの場合は、ウィーンやパリのように旧市街地がぐるりと環状道路で囲まれており、その外側に住宅地が広がっている。旧市街を出た西および南がわにはきれいな住宅が立ち並んでいるお屋敷街がある。エルベ川の谷底を中心とするドレスデンの場合、川に面した旧市街の外、坂を登ったところに住宅地があり、お金持ちたちは急坂の上に屋敷を構えている。エルベ川から見上げるきれいな住宅街は、ちょうど今住んでいる夙川や芦屋にもよく似ている。阪急夙川駅から甲陽園へと電車が登っていくように、ドレスデンでは、エルベ河畔のロシュヴィッツ橋(通称Das Blaue Wunder)からお屋敷街へと2系統のケーブルカー(SchwebebahnとStandseilbahn)が発着している。

ドレスデン戦史博物館から市内を見下ろす。よく見るとエルベ川対岸の小高い丘も見える。
ロシュヴィッツ橋(Das Blaue Wunder)
どっちがいいのか?
二つの街は、統一後の四半世紀でだいぶ変わってきたようだ。ライプツィヒの駅は改築されて巨大なショッピングモールになったし、中心部の旧市街は観光地として整備された。ドレスデンでは第二次大戦後、50年近く(!)瓦礫の山だったフラウエン教会が、2005年に復元が完成している。両都市とも、ドイツ東部の代表的な観光都市だが、実際歩きまわってみると、ドレスデンのほうがインパクトのある観光スポット(王宮、教会、エルベ川など)は多いけど、町がきれいなのはライプツィヒかな、と思った。ドレスデンの場合、観光地が集中している旧市街はごく小さな範囲でしかなくて、街の中心はエルベ川対岸の新市街にも広がっている。しかし新市街の方まで来ると道路は整備されていなくてでこぼこしているし、建物も美しくない。(だがそういう味わいがドレスデンらしいのだと思う)ライプツィヒも工事現場は多いが、1900年前後の古い建物は町のあちこちに残っているし、広々した公園が町の各地にある。数日かけて観光をするならドレスデン、長いこと住み続けるならライプツィヒのほうが居心地が良さそうだ。

ライプツィヒには広々したきれいな公園がたくさんある



ドレスデン新市街の中心から約10分ほど。このあたりで町はずれになる。

観光客に人気のドレスデン旧市街。しかしあまりきれいでない新市街も魅力的だ。

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