2013年11月22日金曜日

ルーズリーフ、ふせん、情報カード

勉強にさいしてどのように調べた情報や考えたことを記録し、整理するかは、非常に重要な問題である。勉強と一口にいっても、いろいろな勉強がある。試験のための勉強、授業のための勉強、語学の勉強、論文を書くための構想メモ、などなど。自分のこれまでの勉強を振り返ると、一冊のノートに順番に記入していくという方法よりも、基本的には一枚ずつバラバラの紙に書いていって、それを入れ替えたり並べ直したりして、一つのまとまった体系を作る、という方法をとってきたように思う。これは大学入試に向けての受験勉強から、博士論文、そして現在の勉強に至るまで一貫した傾向だ。そこで、私がこれまで愛用してきた、一枚ずつバラバラの紙―ルーズリーフ、ふせん、情報カード―について、どんなふうに使ってきたのかをまとめておきたい。

ルーズリーフ
おそらく予備校あたりから使っていたツール。高校時代にも使ったことはあったが、紙を補充するのがめんどくさくて、あまり使っていなかったと思う。ルーズリーフに、考えていることをメモし、文章化し、一枚一枚ためていく、というのは、学部時代の卒論を書くときに試みた方法だった。あのころはいきなりワープロソフトの白い画面に向かうのがいやで、えんぴつでスケッチをし、後にパソコンで清書をするつもりで、ルーズリーフにキーワードや本の一部分を引用して着想をまとめようとしたのだろう。この方法は、おそらく修士論文のころも同じようにやっていたはずだ。ルーズリーフにメモを書き、それを文章化し、ある程度まとまったらプリントアウトして、今度は文章を直しながらふたたびメモをとるという作業の繰り返しで、400字詰め300枚ほどの修論が書けた。当時は自分の書いたメモを、宝物のように大切にしていたと思うが、その後どこにしまったのか覚えていない。おそらくその後2回の引っ越しで捨ててしまったのだろう。ほんとうは論文を書き上げるまでの草稿や、論文に反映されない着想(ボツになった部分など)はのちのち役に立つのだろうけど、やっぱり一度書き上げてしまった題材については関心がなくなってしまうのかもしれない。

ふせん
メモを書けるような大きめの付箋は、博士課程の途中から愛用するようになった。私がいつも使っていたのは、7.5センチ四方のふせんだ。このくらい大きさがあれば、キーワードや文献情報だけでなく、ちょっとした着想とか思考のながれも書くことができる。そしてこのメモをPCの画面の端や手帳にはりつけたり、ある程度数がたまってきたら、ルーズリーフの上に貼り付けて並べて、論述の順番を考えたりした。博士論文のもとになった8本の論文は、おそらくこうしたふせんメモの積み重ねと、その並べ替え作業のなかから生まれてきた。あの頃は、一日のうち半分は文献を読み、半分は付箋を並べるという感じだったと思う。ふせんを使った作業のピークは、2012年春の博士論文のときだった。20インチのiMacのまわりに、色とりどりの付箋が、ライオンのたてがみのように張り付いていた。論の流れから、ちょっとした思いつきや、誤字の修正など、その場で気づいたことをすべて忘れないようにと付箋に書いては、Macの周りに貼り付けていた。3月の末に論文は完成し、それから夏休みに公聴会が終わるまで、Macのまわりには、赤やオレンジのたてがみがくっついていた。製本した論文を提出する頃、一区切りついた気分で、ようやくたまりにたまった付箋を全てはがした。

情報カード
情報カード。iPhoneの空箱がちょうどぴったり。

これまでの情報整理法の欠点を埋めるべく、この1年ほど使ってきたのが情報カードである。日頃の生活上のメモも、今後の研究計画も、講義内容の整理も、あらゆることに活用しているのが、カードである。ルーズリーフの欠点は、その大きさであった。私はとくに、パソコンで印刷した紙もルーズリーフも同じバインダーで管理していたため、B5などの小さいサイズではなく、いつもA4サイズをつかっていたので、どうしてもかさばって仕方がなかった。また、付箋の欠点は、保存しづらい点である。薄い紙で、裏にノリがついているため、付箋紙をそれだけでいつまでも保存しておくわけにはいかない。博論のさいに大量に書いた付箋紙のたてがみも、作業が終わったらゴミになってしまった。保存しておくのであれば、ルーズリーフや手帳など、何らかの台紙に貼り付けなければいけない。このような両者の欠点を解消しうるのが情報カードである。現在は5×3(125mm×75mm)およびB6(京大式といわれるサイズ)の二種類を併用しているが、どちらにしてもコンパクトだし、紙がしっかりしているので保存も容易である。とくに小さいほうの、5×3サイズは、毎日研究メモだけでなく、欲しい文献、授業のアイデア、日記など、様々な用途に愛用している。
情報カードを初めて使ったのは、実はけっこう昔のことだ。浪人時代、英語の勉強をするときに、例文を情報カードに書いてまとめて、毎日の通学中に見直すことを一年続けたら、英語は一番の得点源になった。この成功体験のために、大学でのドイツ語の勉強にもカードはときどき使っていた。もう20年近くまえのことだが、あれこれ回り道をした挙句にふたたび原点に帰ってきたようでおもしろいと思っている。