2014年2月20日木曜日

ウムラウトと間違いを恐れる学生

ようやく今年度の全クラスの採点がおわった。前期と同じように、やはりこちらが上手に教えられなかったところは、学生たちもできていない。そこは次年度の課題にしないといけない。それとは別に、今回はウムラウトを付けない綴りの間違いが非常に多かった。möchteをmochteにしてしまったり、altの比較級がälterじゃなくてalterとなっていたり、fahrenの三人称単数でfährtではなくfahrtにしてしまったりといった具合だ。もちろんしっかり勉強してきた学生たちはちゃんと出来ている。全体として勉強が足りなくて合格点ギリギリの学生たちに、とくにこういうウムラウトのミスが見られた。語順や人称変化はちゃんとできてるのに、なんでこんなところで間違えるのだろう。ウムラウトなんて、ä,ö,üの三種類しかないのだから、英語にはないものとはいえ、そう難しくはないだろうと思っていた。それよりむしろ、英語にはないドイツ語特有の文字なのだし、もう母音全部にウムラウトつけるくらい、積極的にウムラウトを含んだ単語を覚えてほしいとさえ思っていた。だから最初は彼らの綴り間違いがどうして起こるのかまったく見当がつかなかった。私の板書がきたなくて見えなかったのだろうか?次年度はもっとぐりぐりとウムラウトを書いた方がいいのかもしれない、などと考えていた。

こういう話をフランス語を教える妻に話してみた。やはり彼女のクラスでも、アクサンのつけ忘れ、つけ間違いが非常に多かったそうだ。だろうなあ、フランス語で初級者にとって一番とっつきにくいのは、綴りだし、アクサンはウムラウトより種類多い(ほかにも^とか‥とかヒゲとかあるし)のでそりゃ難しかろう。私は初級フランス語を履修していただけで、あとはちょっと独習した程度なので、フランス語にくっついているいろんな記号やてんてんのたぐいはよくわからない。だから外出した際に、妻が料理のメニューや店の看板に見られるフランス語のスペルミスを指摘するたびに、細かいことをうるさく言うなあ、と若干疎ましく思っていたし、うるさい人に文句言われるからフランス語ってめんどくせえ、自分で店を出すなら、「ぜったいにアクサンがない単語を探そう」と思っていた。

そこではたと気づいた。そういうことか。学生たちがウムラウトを付けないのは、私がフランス語のアクサンがついた単語を見た際に思う「めんどくせえ」と同じ気持だったのだ。つくのかつかないのかわからない。あるいはつけてもつけなくてもどっちでもいいんじゃないの?という思いがあるのだろう。そしてテストの場では、できればミスはしたくないから、余計なものをつけるよりはつけないほうがいいだろう、とウムラウトを省くことを決断してしまうのだろう。

ドイツ語でウムラウトを含む単語など当たり前にあるし、ウムラウト込みで綴りを覚えなければ意味が無い。だからこれまでこういうミスについてはどうしてそれが起こるのか考えたことがなかった。しかしフランス語や他の言語と比較することで、学習者のミスを避けようとする心情が逆にこういうミスにつながっているのではないかということがわかってきた。

テストである以上、綴りの間違いは減点の対象だ。だから学生たちには、手を動かして勉強するよういつも呼びかけている。でも、せっかくドイツ語を勉強しているのだから、ドイツ語独自の表現なのだし、積極的にウムラウトをつけて欲しい。あらゆる母音にウムラウトをつけるやる、くらいの気持ちでもいいんじゃないかと思う。

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