単語集ではないけど、基本語辞典はもってた 説明はわかりやすいがABC順なので暗記するには不便 |
どういうことなのか?というのは、多くのドイツ語教員たちは、たぶん単語集を使って勉強したりはしなかったのだろうから、何やら妙な感じがするのだ。何で単語集が必要なのか?と思ってしまう。
私自身の勉強法を振り返ると、単語はたぶん教科書に出てきて、わからなかったものをつぎつぎ覚えていったんだと思う。そしていまでも基本的には同じようなやり方を続けている。知らない単語を調べる、何回か出くわす単語を覚える。これの繰り返しでしかない。
学習者向けの単語集は、本屋やAmazonを見れば、何冊か売っている。ABC順だったりしてすごく使いにくいのが多いけど、独検用などは、受験英語のように頻度順や重要度順になっていたりして、多少は使いやすいのだろう。
でも、独検を受けないのであれば、独検用単語集を使う必要はあまりない。ということは、学生たちが求めている単語集は、こういうものではないということだ。
単語集を欲しがる学生というのは、おそらく、教科書に出てくる単語に優先順位をつけて欲しいのだと思う。私は、よく出てくる単語は自ずと覚えるし、覚えられない単語は辞書で引けばいいと思っているので、単語を覚えなさい、とはあまり言っていない。
でも、それではあまりに不親切なので、なるべく間違いやすい単語や覚えておくと便利な単語は、小テストなどでたびたび取り上げるようにしている。教員にできることなんて、そのくらいじゃないだろうか。
この単語が試験に出るよ、と試験に出る単語集をプリントにまとめて配った所で、それは私が作る試験に出る、ということでしかない。どの単語をどれだけ覚えるかは、結局のところ学習者それぞれの目的に応じて違うわけだから。
大学受験を終えたばかりの学生たちは、大学での学習も漠然と、優先順位と勉強するべきことの範囲が決まっていると思っているのかもしれない。それをお客様的なマインドと批判する教員も多い。たしかにそうなのだが、これまで受験のための勉強ばかりしてきたのだから、そういう発想になるのも当然だろうと思う。だから、大学での語学の勉強は、何かしらの目標や達成すべき水準が定まっているわけではなく、それぞれの目的・目標に向かって取り組んでほしい、と最初の授業で伝えるようにしている。
しかし、そういう私のようにふわふわしたことを言ってると、グローバル人材を養成しなければ、という昨今の流れにはついていけなくなってしまうので、ドイツ語教育の世界でも、こういうことを勉強して、ここまで使えるようになって、こういうふうにグローバル人材になれますよ、という到達目標を提示しなければならなくなってきた。
私自身が留学したこともなく、もっぱら本を読むためにドイツ語を勉強してきたせいか、このような、実用のためのドイツ語力養成を大学でやるべきなのか、ということについては懐疑的だ。私が教えている理系の学生たちは、別にドイツ語ができるようになりたくて勉強しているわけではない。でもみんなとても楽しそうに練習している。それはおそらく、実用とは別の面白さがあるからだ。大学で教育をしているからには、この点を大切にしたい。彼らが勉強しているドイツ語は、実用的ではないだろうし、彼らは来年になったらドイツ語を殆ど忘れてしまうだろう。しかし、単語を覚え、文法事項を整理するための努力は、決して無駄にならない。何語を勉強するときにも応用可能だし、別の知識を得る際にも役に立つ。
このように考えている私は、単語を覚えるなら、自分で工夫してやってみよう、と伝えたい。
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