2013年の3月に、ドレスデンに一ヶ月滞在できることが決まって、まず思いついたのは、現地でマラソン大会に出よう、ということだった。
ちょうど冬ごろは、日本ではマラソン大会のシーズンだった。私は今年も2月の木津川マラソンにエントリーし、春には小豆島のハーフマラソンに出場するつもりだった(学会発表と重なり、欠場)。以前からドイツでは、どんなふうにマラソン大会がかいされているのか興味があったし、ちょうどシーズン中だし、ということで、ネット上で情報を集め、3月の一ヶ月間で出場できそうな大会を探すことにした。
いくつかのサイトを見ると、日本よりもはるかに開催される大会数が多いことがわかった。そして、さらに驚いたのは、出走の直前、大会当日の朝までエントリーできる大会も多いということだった。
3月に入り、現地で暮らし始めてから、コンディションを整えつつ、出場する大会を決めることにした。
そしてここで再び日本との違いに気づく。日本では、マラソン大会はRunnetなどを通じて申し込み、振込、コンビニ決済、カード払いなどの方法で、参加料を支払うことになっている(まれに、オンラインで申し込みできない大会―例:東山三十六峰マウンテンマラソン―もあるが)。しかしドイツでは、カード決済はできず振込または口座引き落としでなければ、オンラインで申し込めないという。そして振込にしても口座引き落としにしても、ドイツに居住し、ドイツの銀行に口座を持っていなければ不可能である。日本のように、銀行口座とは関係なく現金で振り込むということは原則的に行われていない。そうなると、私のような外国人がエントリーするには、ちょくせつ受付会場で申し込み、参加料を払わなければならない。ドイツに来る前は、ベルリン郊外Marienwälderで行われる、baff Natur-Marathonというフルマラソンの大会に出ようと思っていたが、全く土地勘のない田舎町で、会場に時間通りについて、さらに受付をその場でしなければならない、というのはなんだか不安な気がしたため、予定を変更し、滞在先のドレスデン市内で行われる大会に出ることにした。
エルベ河畔、ジョギングに最適 |
受付でもらえるサンプルや広告 |
ノンアルコールビールは、理想的なスポーツ飲料!! |
ゼッケン |
受付は大会前日に、主催者の一つであるカールシュタットですぐに済ませることができた。参加費を払うと、名前(下の名前)を聞かれた。え?と思いつつ、口頭だと通じにくいだろうと、Goethe Institutの受講証を見せると、すぐにゼッケンを発行してくれた。ゼッケンには番号と、名前が印刷されるのだ。受付が終わると、主催者が用意してくれたおみやげ袋のようなものが手渡される。これは日本の大会と同じだ。宿舎に帰り、中身を確認すると、スポンサー企業のちらしやサンプル、近く行われる他の大会の案内などが入っていた。これも日本と同じ。おもしろかったのは、スポンサーの一つに、ビール会社があり、その会社のノンアルコールビールのパンフが入っていたことだ。アスリートや芸能人のインタビューとともに、当社のノンアルコールビールが、いかにスポーツ飲料として優れているかがアピールされている。ドイツではノンアルコールビールはスポーツ飲料扱いなのだろう。
大会当日は、日本の大会と同じく、出走1時間前ごろに会場入りし、更衣室で着替えや手荷物を預けたりした。スタート地点には、ステージが設けられ、アナウンサーがいろいろ喋ったり音楽をかけたりして、なにやら賑やかな様子だった。
スタートおよびゴールのドレスデン 市庁舎前。ステージ前にひらひらして いる模型飛行機の翼みたいなのは、 ドイツのノボリ。イベント会場やお店 でよく見る。 |
当日の気温はたぶん最高で0℃ほど。天気は良かったが、かなり寒い。私は日本のマラソン大会と同じように、長袖のシャツ、半袖のピステ、下は七分丈のウィンドブレーカーという格好。ガタガタ震えていたが、スタートが近づいて人が多くなると、ずいぶん暖かくなった。そして背が高いドイツ人に囲まれて全く周りが見えなくなった。日本の大会と同じく、一番多い年齢層は中高年。隣近所も自分の親くらいのおじさんおばさんばかりなのだが、みんな体が大きい。レースが始まってみて、おじさんおばさんたちがかなり速くて、また驚いた。体が大きい=脚が長いゆえのスピードなのかと思った。このレースは、ドレスデン旧市街の中心部に設けられた一周5kmのコースを2周する。3月はじめにやってきて、何度も見慣れた街の中を走るのは気持ちが良かった。ふだんはトラムにのって通過するメインストリートも、車道を走ると全然違って見える。一周5kmということは、自宅から渡月橋を経て松尾橋までだな、と自分のいつものコースに置き換えて考えていたが、路面が石畳だったため、予想よりもつかれた。ドイツに来てからのジョギングでも、あまり街中を走ることはなかったため、石畳のでこぼこに足を取られそうでこわかった。また、街中の大会のため、応援もにぎやかだった。先日の豪雨で冠水していたエルベ河畔の通りには、ドラム隊が来ていて、どんがらどんがら賑やかな演奏で応援してくれていた。
エルベ河畔の道路 |
デパートが両側に立つ中心街 |
川の近くは風が強くて寒かった |
とはいえ、本気で走れば10kmなんてあっという間だ。しんどいな、と思い始めた頃には終わってしまう。だいたい50分ほどでゴールした。あとで完走証を受け取ると、タイムと順位が印刷されていた。出場者は1500人くらいなので、まあまあ健闘したといえるかも。それから名前の下にGoethe Insititutと書いてあるのは、受付の際に受講証を提示したからだろう。
ゴール後は、日本と同じように、飲み物がもらえる。大抵の場合はスポーツドリンクなのだが、この大会はスポンサーがビールの会社だから、ノンアルコールビールだった。運動直後には炭酸飲料は飲みにくいが、のどが渇いていたので、まあまあおいしかった。会場を見回すと、ドイツ人たちはノンアルコールビールを飲み干したあとに、近くに出ていた屋台で普通のビールも買って飲んでいた。走った後とはいえ、気温は0℃くらいなので、すぐに着替えた。完走証とともに、メダルももらえた。
スポンサーのKrombacherがノンアルコールビールを配っていた |
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