2013年5月11日土曜日

どの校舎?どの教室?


大学という場所には、たくさんの建物がある。

学生たちや教員たちは、毎日講義を受けたり、ゼミに参加したりする。だからどの大学でも時間割には、何時間目はどの授業で、何校舎(何号館)の何教室と、決められている。

私たちは、それぞれの教室に出かけていくのだが、ここで問題になるのが、建物の呼称である。キャンパスマップから目的の建物を探すわけだが、これがけっこう難しい。呼称のルールは各大学ごとにさまざま。1号館、2号館と番号が振られているところもあれば、○○館と熟語っぽい名前や人名をつける大学もある。今回は、私がかつて通った大学や、現在出講している大学を例に、どういう名称がついているのか紹介したい。はじめに結論を書いてしまうけど、結局のところ、どの大学もみんなわかりにくいし、最初の一ヶ月くらいはぜったいに迷う。しかしながら、そのわかりにくさ、迷わせかたは、大学ごとに様々で、じつに興味深い。

明治大学
明治大学リバティタワーエントランスにある怖い絵
1,2年生が通う杉並区の和泉校舎は、第一校舎を筆頭に第四校舎まで番号がついていて、さらにメディア棟(これができたのは最近)、リエゾン棟(在学中はAV教室棟といってた)などがある。私たち文学部生の授業はたいてい少教室が多い第三校舎か、文学科の共通授業などなら第一校舎でやっていた。また、3,4年生が学ぶ駿河台校舎の場合は、現在はリバティタワーという23階建てのビルになってて、ほとんどの授業はここでやっているので、移動はビルのフロア間だけである。私が3年の前期には、まだビルができあがっていなかったので、6号館、11号館、12号館、10号館などの建物で授業を受けていた。6号館は特に古くて、しかも急な坂道に立っているので、構造が複雑だったのをよく覚えている。この建物は夏休み中に取り壊され、リバティタワーの一階部分になった。おそらくここ以外は現存しているみたいだが、10号館も他の校舎と坂で隔てられていて、移動がけっこうたいへんだった。全体的に見ると、学生数の多さのわりに、校舎の分け方は単純で、わかりやすい方ではないかと思う。

京都大学 時計台がある本部構内の場合、文学部校舎、教育学部校舎、法経済学部本館、法経済学部東館、工学部1号館...と学部ごとに分けられているのでわかりやすい。ただ、この校舎の大部分を占める工学部の建物群は数が多くて把握しづらいし、現在は桂キャンパスに移転してしまってる学科もあるため、工学部がいなくなった建物は、総合研究○号館のような中身のわかりにくい名称に変更されている。
 一方、大学院人間・環境学研究科や総合人間学部がある、吉田南構内のほうは、さらにわかりにくい。総合人間学部棟、吉田南1号館、吉田南総合館(さらに北棟・東棟・南棟・西棟に分かれている)、といった具合に名前が振られている。1号館があって、となりが総合館というのがまずわかりにくいが、問題は総合館というのがかつて(2004年以前)は、A号館と呼ばれており、2号館はD号館、3号館はF号館、4号館はE号館と呼ばれていて、かつての呼称と順番がバラバラになってしまっている点である。多くの教員、ODなどはかつての呼称しか把握していない。また、総合館および旧A号館は、増築を繰り返して大きくなった建物なので(古くはA、B、C号館といったらしい)、建物名だけでなく、北棟、西棟など、どの棟なのかもわかっていないと教室にたどり着けない。さらに、シラバスや共通教育の便覧などを見ると教室番号が書いてあるが、その番号の振り方もひどい。吉田南1号館は、共101、1共23など、吉田南総合館北棟は、共北36、私が日ごろ授業を行なっているのは西棟の共西22といった具合である。慣れないと共=1号館、共+方向=総合館というルールがわからず、教室が見つからない。なんかもう説明するのもしんどくなってきたので、次の大学へ。

 滋賀県立大学 非常勤先で最も気に入っている大学だ。公立だけに、こじんまりしていて、田舎なので建物以外の敷地が広い。小さい大学だが、凝った作りになっていて、そのせいでちょっとわかりにくい。学部ごとにゾーンがあって、共通教育や事務はA棟、A0〜A5まで、環境科学部はB、B1〜B8棟といった具合に分かれている。マップを見ると小さい建物がいくつも続いていて複雑だ。私は2年間通っているが、同じA3棟の教室なので、各学部の校舎についてはよくわからない。

 近畿大学 最寄り駅から、ごはん屋さんばかりの学生街を抜けると、10階建て以上のビルが林立する長瀬キャンパスが広がっている。入り口にある門のような18号館、向かいにある本館、それぞれの建物にはわかりやすく番号がついていて、入り口に大きな看板を掲げてあるけど、分かりにくく感じるのは、何より番号が多すぎるからだ。長瀬キャンパスだけで、39号館(薬学部)まである。マップで確認すると、1号館とか2号館とか、若い番号の建物がない。おそらく古い建物のあとに、新しい建物ができたら、元の番号は消滅してしまうというルールがあるのだろうか。私が教えているのは、道路を挟んで東側にあるEキャンパス(eastのことだろう)だが、こっちはまたルールが違って、文芸学部のA館、経済のB館、総合社会学部のG館というように、アルファベットがついている。本部キャンパス、Eキャンパス双方にいえることだが、ひとつひとつの建物がかなり大きいので、全体的な配置がつかみにくいのも、この大学のわかりにくさの一因といえる。

 龍谷大学 1号館、2号館と番号が振られているが、ときどき紫英館、顕真館(法要とかやってる、お寺っぽい建物)など漢字熟語系の名称も交じる。大学の規模にくらべて、建物の数が少ないので、わりとわかりやすいのだが、1〜8号館まであるのに、なぜか21号館、22号館と番号が飛んでいるのかよくわからない。また、ふだん行く場所ではないので気にしてなかったが、キャンパスマップを見ると、紫英館、紫朋館、紫光館、紫陽館など、スクールカラーの紫にちなんだ熟語名もいくつかある。すべての校舎がこのルールで紫○○館と名付けられていなくて本当によかったと思う。

 京都精華大学 山を切り開いた谷沿いに立っているので、ただでさえ建物の位置関係を理解するのが難しい。そのうえ、清風館、黎明館、春秋館など、漢字熟語系の名前がつけられているので、入学後1ヶ月は迷い続けること必死である。学食にもわざわざ悠々館などと名前をつけているのがまた困る。さらに、シラバスや時間割には、清風館101教室ならC101、黎明館001ならL001、春秋館ならS…といった具合にアルファベットで表記されるので、熟語名とアルファベットの対応も覚えなければならない。教員として務めている方としても、新入生に案内をするときは、分かりにくくて申し訳ない、という気持ちにならずにはいられなかった(もちろん私が悪いわけじゃないが)。
 私の勤務校ではないけど、立命館大学、京都造形芸術大学なども同様に、○○館という漢字熟語の名前になっているそうだ。

以上のように私が学んだ大学および勤務してきた各大学の、建物の呼び方についてまとめてみたが、本当にどの大学も分かりにくくて書いて説明するのが難しかった。分かりにくくなる一つの要因として考えられるのが、多くの大学は学部を改組したり増やしたりするたび、校舎を増改築するので、それで呼称のルールが変更されたり、連番だったのが、番号が飛んだりするのだろう。もう5月になるが、どの大学でも新入生たちはまだ迷い続けているだろうし、教員たちも自分の教室がどの建物の何番教室なのか正確に把握していないことだろう。彼らが早く落ち着いた日々を過ごせるようになることを願いたい。

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