去年につづいて9月14日に、歴史街道丹後ウルトラマラソン(60kmの部)に出場したので、振り返ってみたい。
・出場のきっかけ
雑誌などでみて、人間はどれだけ走れるのかと興味をもった。ウルトラマラソンの大会は全国各地で開催されているけど、なかでも地理的に参加しやすいのが、今回出場した丹後ウルトラマラソンだった。雑誌ランナーズなどを見ていると、ハーフやフルマラソンの大会はほぼどの都道府県でも開催されているが、ウルトラマラソンはごく限られた場所でしか行われていない。有名どころ、人気どころといえば、6月のサロマ湖、四万十川、飛騨高山、隠岐島、石垣島、そして丹後半島といったところ。これだけ見ても分かるように、大都市圏から遠く離れた、いわばかなり辺鄙な場所で開かれていることが分かる。それはもちろん、100kmなんていう距離を大会のために使うのがちょっとやそっとの田舎では、非常に難しいということを意味している。私の場合はさらに、ハッピーマンデーは関係なく基本的に月曜日は仕事なので、どうしても日曜日のうちに帰ってこれる大会にしか出場できない。そういう意味で、丹後はちょうどよかったのだ。クルマや電車で3〜4時間かかるけど、なんとか当日中に家まで帰れる距離の大会というのはとてもありがたい。そして夏休みの終わりという時期も、ふだんあまりちゃんと練習できない私にとってはちょうどよかった。
・練習
出場を決めてから、去年はだらけがちな夏休みに奮起して、8月に200km、9月に入ってからも100kmくらいは走っていた。コースの難所とされる峠道の対策として、(当時は右京区在住だったので)嵐山から保津峡へ抜ける八丁峠を上り降りする練習をしていた。今年はドイツに調査に行って、その間自然豊かなドイツで練習に励めると思っていたけど、実際は日本に比べて寒すぎて外にでる気になれなかったり、毎日博物館や図書館に出かけたりとそれなりに忙しくて、ちょっとしたジョギングや公園をウォーキングする程度の練習しかできていなかった。9月に入ってこれではまずいと、長距離を走る練習を始めたが、それとても1回に20km程度を3〜4回ほど。全体として完全に練習不足だった。
フルマラソンやウルトラマラソンに出るというと、ゴールするまでずっと走っているのか?と聞かれることが多いが、私も含めてわりと多くの人が歩いたり走ったりしている。全部走りきれる人たちは一部のエリートランナーだけじゃないかと思う。私の場合、今回は全体の5分の1くらいは歩いている。3分の1くらいは小走り程度の速度。まともに走ってるのは半分くらいかもしれない。
以下、スタートからゴールまで、どんな体調でどんなことを考えながら走っていたのか振り返ってみたい。
・スタートから10kmあたり
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60kmの部スタート地点。9時にスタート。 |
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久美浜湾と日本海をへだてる砂州、小天橋の海水浴場。きれいな砂浜がつづいています。 |
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こっちは久美浜湾。波がなく水がきれいでした。 |
去年とことなり、明るく良く晴れた日。風はひんやりしているが、日差しは強かった。スタートまではわりと涼しいと思っていたが、走り始めると一気に暑くなって汗がたくさん出た。最初の数キロは久美浜湾をぐるっと回る。海のように見えるが、汽水湖なので波がなく穏やかな湖面が美しかった。10kmあたりまでは本当に余裕。梨農園の方がふるまってくれた梨がおいしかった。
・10km〜20km
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久美浜湾の砂州を左手に見ながら。風が強い場所らしく、木の生え方がおかしかった。 |
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最初の難所といわれる七竜峠。登り切ったところで休憩できました。 |
このあたりで久美浜湾の東側から夕日ヶ浦温泉、そして峠道となる。この大会に出場して改めて思ったが、私は上り下りがあるコースが好きなのだ。じりじり登っていき、一気にくだるのはやはり楽しい。平地はつまらないから苦手。去年は腰痛で寝こむほど毎日峠でのトレーニングに明け暮れていたが、今年はそんなに練習できていなかった。近所の急坂ということで、夙川駅から越木岩神社までの坂道で何度か練習していたけど、ぜんぜん足りなかった。
・20km〜30km
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峠からの下りは風景がすばらしい。 |
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うどん休憩。炭水化物としょっぱい汁がおいしい。 |
22km地点でうどんが振る舞われる。網野の街を通りぬけ、網野町郊外のあじわいの里へ。ちょうどお昼ごろの時間で、だいぶ暑さが厳しくなってくる。給水所で水を飲むだけでなく頭からかぶる人が多数。私は靴に水が入るのが嫌で、顔を洗う程度にしておいた。まだまだ脚は元気。しかし左足の薬指に水ぶくれができ始めていることはわかっていた。
・30km〜40km
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30km地点。味わいの里。ここの休憩所ではパンが振る舞われる。パンを少し食べ、水をたくさん飲んだ。 |
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弥栄庁舎の休憩所。ここではばら寿司が出た。 |
33km地点の京丹後市弥栄庁舎で長めの休憩。ストレッチなどをする。脚の筋と腰の周りの筋肉が張っていた。腰の周り(尻と腰の上あたり)がこわばる感じは、この距離を走らないとなかなかふだん感じることはない。毎回フルマラソンで失速するのは、この張りが出始めてから。だったらもっと長時間・長距離の練習をすれば克服できるのでは、と毎回思うが、毎回あとのまつりである。
・40km〜50km
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47.5kmの休憩所。ここの休憩がいちばんうれしかった。 |
去年と同じく、この区間が一番大変だった。47km地点まではほぼ平坦な栃木の実家付近のような田園地帯。去年は脚の筋(脇腹から内腿あたり)が痛くて殆ど歩いた。今回はなるべく歩かないように少しずつ走った。47.5km地点の休憩所で元気を取り戻す。とにかく暑くて水分がすぐ失われる。しかし飲み過ぎると気持ち悪くなる。適度な水分補給の難しさを知る。
・50km〜60km
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間人海岸付近。脚が痛くてもうやめたかったが、景色の美しさは十分に楽しんだ。 |
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残り1km地点。網野の町の人たちが歓迎してくれる。ここまで来て本当に良かったと思う。 |
カニで有名な間人海岸と間人の漁村がよく見えるコース。景色がすばらしかった。去年はこの区間をほとんど歩かずに走ったが、今回は暑さに負けて、3分の1くらい歩いてしまった。この区間で脚と腰回りが痛くて足が前に出なくなったのはやはり練習不足が原因。20分位タイムを短縮できるかと思ったら、あまり早くなくてがっかり。
以前も書いたけど、マラソン大会は走りながら景色を眺めたり、美味しいものを食べたりするのも楽しみの一つだ。
マラソン大会はたしかにタイムや順位を争うものだが、それだけではない。多くの場合、大会にやってくる人は優勝だけをめざしているわけではない。走っているとき何が見えるだろうか?走りながら飲む水がどんな味だろうか?走り終わったとき、どのくらい疲れるのだろうか?疲れて戻ってきてビールを飲んだとき、どれほどうまいだろうか?そんなふうに、走っている間のこと、そして走り終えてからのことを楽しみに、全国から集まってくるのだろう。来年は100キロに挑戦できるかも、と思っていたが、今年と同じように翌日から授業があるということ、そして自分の走力を考えると、まだまだ60kmにしておいたほうがよさそうだ。