2011年11月15日火曜日

人の話を聞くこと3

前エントリ「人の話を聞くこと2」からつづく

こういうことを考えていたら、ちょうど京都新聞で、国語の授業にリスニングを取り入れる学校が増えているという記事が掲載されていた

国語の授業や学力テストで要点を聞き取る「リスニング」の実践が、京都の小中学校で広がっている。子どもたちが話を集中して聞き、要点を把握する 力が低下している、との危機感が背景にある。本年度から導入が始まった新学習指導要領では「聞く力」の向上が重要視されており、関心を集めそうだ。
八幡市の男山第三中は、始業前の10分間を活用した「メモ力」向上の学習を2年前に始めた。教師が新聞記事を読み上げ、生徒は注意深く聞きながらメモを取った。復興増税の記事では「賛成か反対か。その根拠は」と教師が質問した。
この学習を担当する辻村重子教諭(47)は「最初は読み上げた分をすべて書き取っていたが、慣れると何が重要かを判断できる。ほかの教科でも効率的にメモを取る習慣が付いた」と話す。
京都府教委は2003年度から、京都市教委は06年度から、小中学校で学力テストに国語のリスニングを導入。26日の府の一斉テストでも実施した。「東京 が最もよい。政治や経済の中心なので、多くのことを学びたい」「京都が一番よい。観光について学びたい」。宇治市の南宇治中では、スピーカーから流れる会 話に2年生約80人が耳を傾け、メモを取った。その後、東京、京都を支持する理由の正解を選んだ。
今春から小学校、来春から中学校で実施される新学習指導要領では、全教科で討論などの言語活動が盛り込まれ、これまで以上に「聞く力」の育成を重視している。
なぜ「聞く力」の育成が必要なのか。約15年前からリスニングを取り入れている修学院中(左京区)の礒谷義仁教諭(51)は「黒板の内容を写していても、実は頭に入っていない生徒が増えたため」と説明する。
9月の定期テストでは演歌「津軽海峡・冬景色」を生徒に聞かせ、「どこを旅したのか」「時間帯は」などと質問した。礒谷教諭は「インターネットが普及し、 人に聞かなくても調べられるようになった環境や、自分の興味のないことに無関心な傾向が要因ではないか。学校がコミュニケーション力を育まないといけな い」と強調する。
【 2011年10月31日 12時47分 】

この記事にあるように、確かに学生たちは、人の話を聞いて内容をすぐに理解したり、要点をメモしてまとめたりするのが苦手だ。メモを取る、要点をまとめる、そして議論する。どれも非常に大事な能力だ。できればこういう形で初等中等教育の段階で訓練を積んでおくのもいいだろう。
しかし大学生になってから、こういった聞き取りの勉強をするというのは、ちょっと難しい。というのも、大学での勉強は、技術であるべきではないからだ。
もちろん私自身、初年次教育の実践にたずさわっているので、日々「学ぶ技術」を探求し、教授している。レポートの書き方、ディスカッションやプレゼンの仕方などを教えているけど、ただ技術だけを教えているわけではない。書くことや話すことが、どのように日々の学習や今後の学びにつながるのかということを、なるべく学部での学習内容に引きつけて練習させるよう心がけている。だからどうしても、一方的に教材を投げて、聞き取り問題をやって聞く力をつけなさい、という方法は大学にはなじまないと思う。

ではどうしたらいいのか?改めて聞く力じたいについて考えなければならない。

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